2020年12月10日木曜日

本人の意志と家族の思い コロナ渦で露になる老人医療の闇

延命治療の是非 命の重さと病院のリソース

ネットでこんな記事を読んだ。

年老いた親が一時的に入院した後、退院できる状況になっても受け入れ側(基本的には子供)が拒否する‥。理由は「家が狭い」とか「お金がない」とか。しかも入院を継続したとしても「お金(入院費)は払わない」と言い出すのだとか。


記事自体はこういった状況で医療従事者が本来は不要な「受入れ先探し(介護施設など)」を強いられ、コロナ渦において余計な負担が増えている‥という話だった。

老人医療・終末医療・介護等々、いろいろな問題を考えさせられる記事だったが、私としては記事の中で「延命治療」に触れていたところが気になった。

~医療従事者にも、ベッド数などの病院リソースにも、家族の経済的な事情にも「限界」がある。だから「延命」が過度にならないよう、本人が元気なうちに延命治療を望むか否かのヒアリングはしっかりしておくべきだ。身体にたくさんのチューブを通し、自力では食事もできず寝たきりの状態‥そんな状況でも延命してほしいと思う人がいるだろうか‥~

こんな話だった。。

端的に言えば「寝たきりで意思の疎通も出来ない人に延命だけの治療が必要か?」という事なのだろう。本人が元気なうちにヒアリングすれば「延命治療などしなくていい」を言う人が多いのであろう。医療従事者の方々にしても負担が大きく減るのである。「延命治療なし」は今の時代にまことしやかに合理的な考え方‥のようにも思える。

私も母が亡くなる前までは、ある意味「延命治療は無意味」と考えるところもあった。しかし、実際に母の死に直面した時に考え方が変わってしまった。

母の死に直面して考え方が変わった

文字通り私の母は「寝たきり」の状態が長く続いた。「元気なうちに延命治療についてのヒアリング」なんてしていなかった。そんなこと(死を前提に)話すなど不謹慎である‥と思っていた部分もある‥。


母が亡くなる2ヶ月程前、私は医師から「胃ろう」の相談を受けた。当時の母の状況から考えて、「胃ろう」は「単なる延命」に過ぎないことは明らかだった。医師からも「(胃ろうの造設は)あまり勧められない‥」とも言われていた。

でも、私は最終的に「胃ろう」を行う事にした。母の「延命」を希望したのだ。

「元気なうちのヒアリング」はしていなかったし、寝たきりので意思の疎通も出来ない母に確認することもできない。父も十数年前に亡くなり、私には兄弟もいない。。相談相手は皆無ではないが、最終決定は自分がするしかない‥。こんな状況で私は最終的に「延命」を希望した。理由は‥

母の命を終わらせる‥という覚悟ができなかったからである。

「回復の見込みなし」「意識が戻る見込みもほとんどなし」「単なる延命」‥すべてわかっていた。病院スタッフの皆様の負担になるだけ‥も理解していた。でも私には「胃ろうはしません」と言う事ができなかった。。

「母のため」ではなく「自分のため」に「胃ろう実行」を選んだのだ。私の意志によって母の命を終わらせれば、後年計り知れない後悔を背負うことになるかも知れない‥。「回復の見込みがないのだから仕方ない」と割り切ることができなかった。

残された家族にとっての延命治療

もちろん、本人の命である。本人の意思を最優先すべきである。でもそこに家族の意志が入り込む余地はないのか‥私は疑問である。本人の意思であれ、周囲の状況がどうであれ、家族が重い十字架を背負い込むような終末であっては‥これも問題だと思うのだ。


結局、母は胃ろう造設手術を終えてから1ヶ月も経たないうちに亡くなってしまった。でも私は胃ろうを行ったことに後悔はしていない。逆に「合理性」に拘り、母の「命の終わり」を私が決めたのであったら、私はその重み故に大変な後悔をしたかも知れない。「後悔」とまでは行かなくても「永遠の心残り」となっただろう。

一方、もし「ヒアリング」を行っていたとしても、それは「本人が元気なうち」の意志であり、ある意味「強気」だった時の考え方である。年老いて身体が弱り「強い気持ち」が持てなくなった時にも「延命必要なし」と考えられるだろうか‥。身体も動かず、言葉も発せられず、薄い意識の中で「まだ生きたい」と思う老人もいるのではなかろうか‥。

結論など出ないのかも知れない。「終末期」となり意思疎通が難しい老人であっても「生きたい」という意思を持っているかも知れない‥そうでないかもしれない‥わからない。でも現実に医療現場の逼迫は治まらない‥。

矛盾や虚しさを感じざるを得なかったが、いろいろと考えさせられる記事であった。


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